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便秘

お腹の張りについて

腹部膨満感は、お腹にガスや液体がたまり、苦しさを感じる状態です。食事とともに飲み込む空気や食べ物の消化で発生するガスが原因で、げっぷやおならがうまく出せないと感じます。便秘や臓器の疾患も腹部膨満感を引き起こす可能性があります。当院では、特に便秘に焦点を当て、専門的な治療を提供しています。

便秘とは

「本来体外に排出すべき糞便を十分量かつ快適に排出できない状態」とされ、過度な怒責、残便感、直腸肛門の閉塞感、排便困難感を認める状態です。また、慢性便秘症に関しては、定義も存在しますが、慢性的に便秘が続くために日常生活に支障をきたしたり、身体にもさまざまな支障をきたしうる病態と判断されれば慢性便秘症と診断されます。便秘は個人差があり、毎日排便がなくても、その人の排便のペースが正常範囲内であれば問題ありません。便秘によって腹痛や腹部膨満感、気分が優れない、1カ月以上続く残便感などの症状がある場合は、早めの受診をお勧めします。

便秘の原因

便秘は排便のメカニズムに障害が生じ、腸内に長時間便が残り、不快感が生じて排便が困難な状態を指します。便秘は原因によって器質性便秘と機能性便秘に分類されます。

器質性便秘

大腸の形態的変化を伴う便秘で、大腸がん、炎症性腸疾患(クローン病、虚血性大腸炎)、巨大結腸などに起因します。

機能性便秘

機能性便秘は以下の3つに分かれます。

直腸性便秘(便排泄障害型便秘)

直腸性便秘(便排泄障害型便秘)は、直腸に便が到達しても便意を感じにくく、結果として大腸内に便が長時間滞留する状態です。排便リズムが崩れ、トイレの時間を確保できないなどが原因と考えられます。

大腸通過遅延型

最も一般的な便秘で、運動不足や食物繊維不足により大腸の蠕動運動が低下し、便の通過が遅れ、大腸内に便が滞留します。また、代謝・内分泌疾患や膠原病、便秘型過敏性腸症候群などの症候性、向精神薬などの薬剤性も原因となります。

大腸通過正常型

便秘に加えて腹痛や腹部膨満感が起こるタイプで、自律神経が緊張過多になり、蠕動運動が強まり、腸が痙攣を起こして便の運搬が円滑でなくなります。経口摂取不足(食物繊維摂取不足を含む)や硬便による排便困難・残便感が原因となります。

便秘を伴う疾患

大腸がん

現代の日本の食事が欧米化する中で大腸がん患者が増えています。大腸がんの危険因子として年齢(50歳以上)、大腸がんの家族歴、高カロリー摂取及び肥満、過量のアルコール、喫煙が挙げられます。一方、大腸がんの抑制効果があるものとして、適度な運動、食物繊維、アスピリン、などが報告されています。大腸がんの初期症状は軽微ですが、進行すると大腸が狭まり、排便が難しくなります。急な便秘、便の細さ、血便がみられる場合は速やかに医師の診察が必要です。予防としてはバランスのとれた食事や定期的な検診が重要です。

過敏性腸症候群(Irritable bowel syndrome :IBS)

過敏性腸症候群(IBS)は、器質的な異常がないにもかかわらず、便秘や下痢、腹痛、腹部膨満感などを引き起こす慢性的な疾患です。痙攣性便秘とも呼ばれ、小腸や大腸にびらんや潰瘍が見られないことが特徴です。症状は一時的に改善しても、精神的なストレスや肉体的な状態がトリガーとなり、再発することがあります。適切な管理やストレス軽減が重要です。

過敏性腸症候群

腸閉塞(イレウス)

腸閉塞(イレウス)は、腸が機能障害を起こし、捻じれや腫瘍が原因で腸が詰まり、腸内の内容物が正常に運ばれなくなる病気です。これにより、便秘、腹痛、腹部膨満感、嘔吐などの症状が現れます。便やガスが腸内で滞留することで、腸が膨張し、患者が発熱することもあります。腸閉塞は緊急の対応が必要であり、早期の診断と治療が重要です。

痔は、排便時に強くいきむことや便秘によって引き起こされる疾患です。いきむことで肛門部がうっ血し、硬くなった便が肛門部を傷つけ、痛みや出血、化膿などの症状が現れます。便秘により直腸に便が滞留し、肛門部の血流が悪化することも一因です。排便を我慢することで便秘が悪化し、硬くなった便が再び痔を悪化させる悪循環が生じます。痔と便秘は相互に影響し合い、予防や適切な治療が重要です。

便秘の検査

当院の大腸カメラ

大腸カメラは、内視鏡スコープを肛門から挿入して大腸内の粘膜を観察する検査方法です。大腸がんは進行がんになるまで自覚症状が出現しないため、自覚症状が出てから検査を受けた場合には病状が進んでいることがあります。定期的に受けることでがんやポリープを早期発見し、早期治療が可能です。発見したポリープは検査中に切除できるため、がん化のリスクを低減できます。検査中の不安や苦痛を軽減するため、当院では鎮静剤の使用や男女別の更衣室を用意するなどの心配りを行っています。ご不明点や不安があれば、どうぞお気軽にご相談ください。

大腸カメラ

便秘の治療

食事療法

便秘の悪化に水不足が関与することがあります。十分な水分摂取を心がけましょう。栄養バランスの取れた食事や食物繊維が豊富な規則正しい食事も重要です。1日3回の食事を摂り、特に食物繊維を意識的に取り入れましょう。ダイエットを考える際は、適切なカロリー摂取が便秘の予防に役立ちます。食事の質を意識して、健康的な生活習慣を心がけることが大切です。

運動療法

便秘予防のために、週に3回以上、1回30分程度の有酸素運動を行いましょう。速足の散歩や階段の利用など、簡単な日常生活の中でできる運動でも効果的です。これにより基礎代謝が向上し、血行も改善され、腸の機能が活性化します。デスクワークが中心の場合は、座ったままできるストレッチなども取り入れ、こまめに身体を動かすことが大切です。

生活習慣改善

便秘解消や予防のためには、規則正しい生活習慣が重要です。1日3回の食事や早寝早起きを心がけましょう。朝食を摂り、トイレに行く習慣をつけることで生活リズムが整い、便秘の改善に寄与します。便意がある時は我慢せずトイレに行くことも大切です。良い睡眠や十分な休息を確保し、身体を冷やさないように気を付けましょう。

夏でも湯船に浸かって血行を促進することで隠れた冷えを解消し、リラックスすることでストレスも軽減します。これらの生活習慣が身体の健康につながり、便秘の解消と再発予防に役立ちます。

薬物療法

医師が処方する薬剤は、便秘の原因や体質に応じて選定されています。市販薬では効果が実感できない場合でも、専門的な治療が期待できます。当院では、最も困っている症状の改善を優先し、必要に応じて漢方薬を併用することもあります。