こんな症状はありませんか?
- 1ヵ月以上、お腹の調子が良くない
- 突然の腹痛や下痢が発生する
- 便秘と下痢が交互に繰り返される
- 重要な会議前や試験中に腹痛が発生する
- 旅行中も急に腹痛が起こり、トイレに駆け込むことがある
- 緊張するとガスが発生する
- お腹が鳴る
- 硬くて小さな便が出る
- 通勤車内で急に腹痛が発生する
- 通勤や通学中の電車内で腹痛が起こる
- 就寝中には症状がない
過敏性腸症候群(原因)とは
過敏性腸症候群の原因は不明です
過敏性腸症候群の原因はまだ解明されていません。感染性腸炎の後に発症することがあり、この症状は腸の免疫異常に関連していると考えられています。また、食事、睡眠、ストレス、腸内細菌が自律神経を乱し、過敏性腸症候群を引き起こす可能性があります。
脳と腸には密接な関係性があります
脳と腸は密接な関係にあり、過敏性腸症候群(IBS)の病態にはストレスが関与します。臨床的にはIBS患者の消化器症状が患者のストレス自覚時に増悪する現象として現れ、IBS患者においては、ストレス負荷と消化器症状悪化の相関係数が健常者よりも高いとされます。
ストレスは腸粘膜のセロトニンと関係がある
セロトニンは神経伝達物質で、脳から腸管への信号伝達に影響を与えます。ストレスが脳に影響を与えると、腸粘膜からセロトニンが分泌され、これが腸の蠕動運動に異常を引き起こし、腹痛と下痢が発生する原因と考えられます。
お腹の症状
- 腹痛
- 腹部膨満感
- 残便感
- 便秘
- 下痢
- お腹がゴロゴロ鳴る
お腹以外の場所で起こる症状
- 頭痛
- めまい
- 食欲不振
- 抑うつ
- 不安感
- 肩こり
過敏性腸症候群の種類・症状
過敏性腸症候群は、排便後に一時的な症状の改善が見られるものの、長期的に腹痛を伴う便秘や下痢などの便通異常が繰り返し起こります。これらの症状は食事が誘発要因であり、就寝中は症状が現れません。腹部膨満感、腹鳴、放屁なども起こります。過敏性腸症候群は下痢型、便秘型、混合型の3つに分類されます。
下痢型
下痢型の過敏性腸症候群では、1日に3回以上の激しい腹痛を伴った急性な下痢が繰り返し起こります。急な腹痛のため、外出が難しく、これがストレスや不安を引き起こし、症状を悪化させることがあります。
便秘型
排便時に腹痛があり、強くいきんでもスムーズに出ません。排便ができても小さな硬い便しか出ず、排便後に残便感が残ります。これは腸管が痙攣し、便が腸内に滞っている状態です。
混合型
混合型では、激しい腹痛とともに、便秘と下痢が交互に起こります。このタイプは症状が一定せず、予測が難しいため、精神的なストレスにつながります。
過敏性腸症候群になりやすい年齢・体質・性格
年齢
過敏性腸症候群になりやすい年齢は、男女ともに10代が増加傾向にあり、男性は30~40代、女性は20代と50代に発症が多いです。
体質
体質としては、ストレスを感じやすく、体調変化に敏感な方が発症リスクが高いとされます。その他遺伝的な要因や生活習慣も発症に関与しているとされています。
性格
性格も過敏性腸症候群の発症に影響を与えます。排便には個人差があり、真面目で普段から体調や環境に敏感な方は、ストレスや食事、運動、環境の変化に大きな影響を受けて、腸の調子を崩すことがあります。
過敏性腸症候群の診断
過敏性腸症候群(IBS)の診断は、大腸の器質的疾患を排除するために大腸カメラを行います。異常が見られない場合、過敏性腸症候群を疑います。症状や便通を確認し、Rome基準に基づいて診断します。現行の基準はRomeⅣ(R4)で、以下の条件が含まれます。
- 腹痛が排便により軽減する。
- 症状の有無で排便頻度が変化する。
- 症状の有無で便の状態が変化する。
6カ月以上前からの持続的な腹痛や腹部不快感があり、最近3カ月のうち1カ月で少なくとも3日以上、上記2つ以上の症状がみられる場合、過敏性腸症候群と診断されます。器質的な異常がないことを確認するため、血液検査、大腸カメラ、尿検査、便検査を実施します。Rome基準を満たさなくても、総合的な評価に基づいて過敏性腸症候群と判断され、治療が行われることもあります。腹痛、便秘、下痢などの症状がある場合は、専門家にご相談ください。
過敏性腸症候群の治療
過敏性腸症候群の治療は、命には関わりませんが、日常生活や仕事、学業に支障をきたす可能性があるため、適切な対応が求められます。この症状は原因が解明されておらず、治療には時間がかかることが一般的で、完治させる明確な治療法はまだ存在しません。
治療は症状や患者の状態によって異なり、当院では薬物療法と生活習慣の改善に関するアドバイスを提供しています。症状だけでなく、普段の生活で困っていることや支障を取り除くためにも、細やかな相談にも対応しています。どんな些細なことでもお気軽にご相談ください。
生活習慣の改善
生活習慣の改善は、過敏性腸症候群の症状を和らげるために重要です。良質な睡眠時間の確保と規則正しい生活リズムが特に大切です。また、症状悪化の原因となるアルコールや刺激物の摂取には注意が必要です。生活習慣を急激に変えることや制限を守りすぎることは逆効果となり、ストレスを増加させかねません。無理なく続けることが効果的で、症状の改善につながります。
運動療法
早足での散歩や水泳などの負担の軽い有酸素運動を定期的に行うことで、腸のぜん動運動が改善することがあります。さらに、ストレッチも習慣的に行うことが有益です。これらの生活習慣改善策を組み合わせることで、症状の緩和が期待できます。
薬物療法
当院では、過敏性腸症候群の症状に応じて細かい処方を行います。便秘や下痢には多くの薬があり、最新の薬剤も導入しています。患者様の状態に応じて効果を確認し、必要に応じて処方を微調整していきます。自律神経の調整が消化管症状の改善に繋がるため、一時的には抗不安薬や抗うつ薬の使用も検討されることがあります。
漢方薬、乳酸菌、酪酸菌製剤なども併用することで、より総合的な治療が可能です。患者様に最適な薬物療法を提供し、症状の緩和を目指します。