ピロリ菌外来
ピロリ菌外来は、ピロリ菌感染による胃がん発症リスクの評価と治療を行う専門外来です。ピロリ菌感染は胃がんのリスクを高める要因とされ、検査により感染の有無を確認し、陽性の場合には除菌治療を行います。除菌治療の成功率は約90%で、一定の条件を満たす場合、2回まで健康保険適用で治療が受けられます。特に40歳を超えると胃がんリスクが上昇するため、この年齢を過ぎたらピロリ菌検査を受けることが推奨されます。また、胃の症状や家族歴がある場合は、40歳を待たずに早めに相談することが重要です。
ピロリ菌とは
ピロリ菌(ヘリコバクター・ピロリ菌)は1982年に発見された細菌で、強力な胃酸の中に生息し、慢性的な胃炎を引き起こします。感染は主に幼少期に起こり、井戸水などを介して経口感染すると考えられています。感染者数は先進国での上下水道整備により減少していますが、日本では依然として高齢者を中心に感染が見られます。
ピロリ菌感染は慢性的な胃炎や胃潰瘍、十二指腸潰瘍の原因となります。また、胃炎が高度になるにつれ胃がんの発症リスクが上昇します。症状がなくても感染が続く場合もあり、慢性的な胃炎症状や関連の病歴がある方、また家族に関連疾患がある場合は早めにピロリ菌感染検査を受けることが重要です。
感染が気になる方は、お気軽にご相談ください。
ピロリ菌検査
ピロリ菌感染の有無を判断する検査には、胃カメラ検査の際に組織を採取する方法と、胃カメラ検査を行わない検査があります。以下は主な検査方法です。
胃カメラ検査の際に組織を採取する方法
- 培養法
- 迅速ウレアーゼ試験
- 鏡検法
胃カメラ検査を行わない検査
- 血中抗体、尿中抗体測定
- 尿素呼気試験
- 糞便中抗原測定
当院では主に胃カメラ検査で粘膜を詳しく調べ、感染が疑われる場合は組織を採取してさらに詳しく調べています。
ピロリ菌外来の診療
ピロリ菌外来では、ピロリ菌感染が確定診断された場合、条件を満たすと除菌治療が2回まで健康保険適用で受けられます。
慢性胃炎の診断を受け、ピロリ菌が陽性の場合も、同様に除菌治療が保険適用されます。
ピロリ菌除菌の成功率
現在、効果的な「P-CAB」と呼ばれる胃酸分泌抑制薬が登場し、ピロリ菌除菌の成功率は約90%に達しています。治療の成功判定が重要であり、服薬終了後に適切な期間を置いて判定検査が行われます。除菌治療が2回までの範囲で失敗した場合、3回目の治療も可能ですが、3回目以降は自費診療となり、健康保険の適用外となります。
ピロリ菌治療の流れ
1診断
胃カメラ検査を行い、粘膜の状態を確認し、ピロリ菌感染の有無を組織生検で確認します。
陽性の場合
健康保険適用の除菌治療が開始されます。
陰性の場合
特に問題がなければ治療終了で、症状や病変がある場合は状態に応じた治療を行います。
21回目の除菌治療
抗生剤2種類と胃酸分泌抑制薬1種類を朝夕の2回、1週間にわたって服用します。
3除菌判定
服用終了後、一定期間が経過してから尿素呼気試験を行い、除菌が成功したかどうか確認します。
陽性の場合は2回目の健康保険適用の除菌治療が可能です。陰性の場合は除菌が成功し、治療終了となります。ただし、一度感染した場合はピロリ菌によるリスクはゼロにはならないため、定期的に検査を受けることが大切です。
42回目の除菌治療
抗生剤を変更し、朝夕2回、1週間の服薬を行います。
5除菌の判定
服用終了後、一定期間が経過してから尿素呼気試験を行い、除菌が成功したかどうか確認します。
陽性の場合は2回目の健康保険適用の除菌治療が可能です。陰性の場合は除菌が成功したことを意味するため、治療終了となります。ただし、一度ピロリ菌に感染した場合は、ピロリ菌を除菌しても胃がん発がんのリスクはゼロにはならないため、定期的に検査を受けることが大切です。
保険診療適用で除菌治療を受けられる方
- 胃カメラ検査や造影剤使用のレントゲン検査などで胃潰瘍か十二指腸潰瘍の診断を受けた
- 胃MALTリンパ腫・特発性血小板減少性紫斑病の方
- 早期胃がんの内視鏡的治療を受けた方
- 胃カメラ検査で胃炎の診断を受けた方
この条件を満たす方は、感染検査や除菌治療が健康保険適用となります。半年以内に他の医療機関で受けた内視鏡検査での胃炎診断や他院での胃カメラ検査結果を持参いただいた場合も対応可能です。保険適用の条件を満たさない場合は自費診療となります。